■ピロリ菌の否定



   19世紀後半から細菌学は、結核に関する研究で1905年に
   ノーベル医学・生理学賞を受賞したドイツの細菌学者で医師
   でもあったロベルトコッホらの活躍によって隆盛を極めて
   いました。けれど当時用いられていた培養法ではこの胃の中
   の細菌、所謂ピロリ菌を分離培養出来ず、生きた細菌の存在
   を直接証明する事が不可能だったのです。

   加えて、細菌学の黎明期には、コレラ菌やチフス菌など多数
   の消化管感染症の原因菌が研究されており、今となっては、
   これが逆にピロリ菌の存在を否定する1つの要因となっていた
   のも事実のようだと言われています。何故なら、胃は胃酸に
   よる殺菌作用によって、こうした細菌感染に対する防御機構
   としての役割を果たしていると考えられていたからです。勿論、
   胃で全ての細菌が死滅する訳ではありませんが、強酸性の世界
   であるその場所は生命にとって劣悪な環境であり、通常の細菌
   はまず生息出来ないであろうというのが当時の見方だったと
   思われます。

   そしてついに、20正規も半ばを過ぎた1954年、ピロリ菌の研究
   に対する大きな転機が訪れます。アメリカの病理学者で消化器
   病学の大家であったエディパルマーが、1000件以上もの胃の
   生検標本について検討したものの、螺旋状の菌、即ちピロリ菌
   は発見出来なかったと発表し、これまでのFreedbergらの胃の中
   の菌の存在に関する報告は誤りであると主張したのです。
   そして、事もあろうか、ピロリ菌の研究は低迷の時期を迎えます。


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