■ピロリ菌の照明



   ピロリ菌が発見された1980年代当時は、慢性胃炎や胃潰瘍
   の主な原因はストレスだと言われていました。しかし、
   マーシャルらはこれらの疾患には病原菌が存在し、それが
   ピロリ菌だという仮説を提唱したのです。胃炎や胃潰瘍の
   慢性化が胃ガンの発生に関与している事は当時すでに知られ
   ていたため、この仮説はピロリ菌がガンの発生を促進する
   可能性を示唆するものとなり、さらなる注目を集めました。

   そこでマーシャルは、その仮説を実証するために培養した
   ピロリ菌を自分で飲むという趣旨の人体実験を行ったところ
   急性胃炎を発症し、コッホの原則の1つを満たす事を証明
   したのです。

   けれど、マーシャルがこの時発症した胃炎は、その後治療を
   行うことなく自然に治癒してしまったため、急性胃炎以外の
   胃疾患との関連についてはこの自飲実験では証明されません
   でした。ところが、時を同じくしてマーシャルらとは別に、
   ニュージーランドの医学研究者アーサーモリスも同様の自飲
   実験を行っていたのです。そして、同じく急性胃炎を発症
   しましたが、彼の場合は、その後慢性胃炎への進行が認めら
   れたのです。こうしてピロリ菌が急性、慢性を問わず胃炎の
   原因となる事が明らかになりました。

   ただし、当初ピロリ菌と胃ガンとの関連については、数多く
   の動物実験においても証明が出来ないままの状態が続いて
   いたようです。しかし、それも後の疫学調査の結果から次第
   に明らかになって行き、1994年には国際がん研究機関発行の
   「IARC発がん性リスク一覧」に、ピロリ菌は発ガン性がある
   発ガン物質として記載されたのです。


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